ARBITRATION AND MEDIATION CENTER 紛争処理パネル裁定 Pylon Technologies Co., Ltd. 対 ha van khu, van khu 事件番号 D2023-3941 1. 紛争当事者 申立人は,Pylon Technologies Co., Ltd.であり,その住所地は中国である.申立人の代理人は,Chofn Intellectual Propertyであり,その住所地は中国である. 被申立人は,ha van khu, van khuであり,その住所地はベトナムである. 2.ドメイン名および登録機関 紛争の対象であるドメイン名
本件ドメイン名の登録機関GMO Internet, Inc. d/b/a Discount-Domain.com and Onamae.com 3. 手続の経過 本件申立書は,2023年 9月 26日に WIPO 仲裁調停センター以下「センター」へ提出された.センタ ーは 2023年 9月 26日にメールにより本件ドメイン名の登録確認を登録機関 GMO Internet, Inc. d/b/a Discount-Domain.com and Onamae.comに要請した. 2023年 9月 27日に登録機関 GMO Internet, Inc. d/b/a Discount-Domain.com and Onamae.comはメールによりセンターへ登録確認の返答をし,本件ドメイ ン名の登録者および連絡先細目を公開した. センターは申立書が統一ドメイン名紛争処理方針(以下「処理方針」),統一ドメイン名紛争処理方針手続規 則以下,「手続規則」および WIPO 統一ドメイン名紛争処理方針補則以下,「補則」における方式 要件を充足していることを確認した. 手続規則第 2条および第 4条に従い,センターは本件申立を被申立人に通知し,2023年 10月 6日に紛争処 理手続が開始された.手続規則第 5条に従い,答弁書の提出期限は 2023年 10月 26日であった.被申立人 は,期日までに答弁書を提出しなかった.したがって,センターは,2023年 10月 27日に被申立人の懈怠 を通知した. センターは,Masato Dogauchi道垣内 正人を単独のパネリストとして本件について 2023年 11月 1日 に指名した.紛争処理パネルは,同パネルが正当に構成されたことを確認した.手続規則第 7条の要請に従 い,紛争処理パネルはセンターへ承諾書および公平と独立に関する宣言を提出した. 第2頁 4. 背景となる事実 申立人は 2009年に設立された法人であり,新エネルギー発電,グリッド補助サービス,マイクログリッ ド,産業・商業パーク,充電杭,データセンター,通信基地局などに関する製品及びサービスを世界 80か 国以上の国及び地域に供給している.申立人のビジネス規模は大きく,例えば 2022年住宅用エネルギー貯 蔵システムの世界出荷台数で世界第 1位であった. 申立人は,少なくとも以下の PYLONTECHの商標を有している. - オーストラリア商標: 2153392号,2020年 7月 10日登録; - 国際商標: 1149396号,2012年 12月 11日登録ベトナムのほか,シンガポール,連合王国,エジ プト,ドイツ及びケニヤを指定; - 中国商標: 9379396号,2012年 5月 7日登録; - 中国商標: 8353926号,2011年 6月 7日登録; - 国際商標: 1573975号,2020年 7月 10日登録ベトナムのほか,アフリカ諸国,オーストラリア, ブラジル,カナダ,欧州共同体,インドネシア,日本,メキシコ,ニュージーランド,シンガポール,タ イ,連合王国,アメリカ合衆国,ザンビア,ジンバブウェ,エジプト,ドイツ及びケニヤを指定. 本件ドメイン名は 2022年 5 月 18 日に登録機関に登録され,その登録契約の言語は日本語であった.ま た,本件ドメイン名は,申立人の競争相手の商品を販売するウェブサイトに導いている. 5. 当事者の主張 A. 被申立人 申立人の主張は次の通り 3つにわけることができる. 申立人は,本件ドメイン名は,ジェネリック・トップ・レベル・ドメイン「gTLD」,すなわち本件で は".net"を除き,申立人の有する PYLONTECHの商標全体が組み込まれているため,当該商標と同一である と主張している. 申立人は,被申立人は申立人と一切関係や関連性を持たず,申立人は被申立人に PYLONTECHの商標の使 用許諾をしていないことから,被申立人は,本件ドメイン名について権利または正当な利益を 有していな いと主張している.また,申立人は,本件ドメイン名が申立人の競争相手の製品を販売するウェブサイトに 導いていることは,被申立人が本件ドメイン名を誠実に製品またはサービス提供のために商業的利用をして いるとは言えないと主張している. 申立人は,PYLONTECHの商標は被申立人が本件ドメイン名を登録した時点では著名であり,被申立人 は,本件ドメイン名の登録時に申立人の商標を知っていたか,または知るべきであったということができ, 不正の目的で登録したと主張している.また,申立人は,被申立人は本件ドメイン名のリダイレクトによ り,申立人の競争相手の商品を販売しているウェブサイトに転送する設定をしており,これは,不正の目的 での使用であると主張している. B. 被申立人 被申立人は,答弁書を提出していない. 6. 審理および事実認定 手続規則第 15条(a)項によれば,「パネルによる申し立ての裁定は,ポリシー,手続規則,および適用可能 と判断した法の規則や原則に従い提出された,陳述と文書に基づくものとします.」とされている.本件で は,被申立人は答弁書を提出していないので,適法に提出されている申立書に基づいて認定される事実を前 提に判断する. 第3頁 方針第 4段(a)項によれば,申立人は以下の項目のすべてを立証しなければならない. 「(i) あなたのドメイン名が,申立人が権利を有する商標または役務商標サービスマークと,同一または 混同を引き起こすほどに類似しており かつ (ii) あなたが,そのドメイン名についての権利または正当な利益を有しておらず かつ (iii) あなたのドメイン名が悪意で,登録かつ使用されていること.」 A. 同一または混同を引き起こすほどに類似していること 4記載の通り,申立人は PYLONTECHの商標を,被申立人が住所を有するベトナムを含む国々で正当に所 有している. 本件ドメイン名は,申立人の PYLONTECHの商標と同一の文言と,「.net」という gTDLにより構成されて おり,多くの先例によれば,gTDLはこの同一性のテストでは無視されるべきであるとされている. したがって,本件ドメイン名は申立人が有する商標と同一であり,方針第 4段(a)項(i)の要件は具備されてい る. B. 権利または正当な利益を有していないこと 5.A記載のこの点に関する申立人の主張に対して,被申立人は答弁書を提出しておらず,かつ,申立人の主 張に不自然なところはないことから,本紛争処理パネルは,申立人は被申立人と一切関係や関連性を持た ず,申立人は被申立人に PYLONTECHの商標の使用許諾をしていないと認定する. さらに,本紛争処理パネルは,紛争中のドメイン名の構成が申立人の商標と同一であることが認められ,こ のことは,効果的に申立人をなりすまし,または申立人によるスポンサーシップもしくは支持があることを 示唆する高いリスクがあると判断する. したがって,パネルの 6.C記載のことも考慮し,被申立人は本件ドメイン名についての権利また は正当な利益を有しているとは言えず,方針第 4段(a)項(ii)の要件は具備されている.被申立人は 本件ドメイン名についての権利または正当な利益を有しているとは言えず,方針第 4段(a)項(ii)の要件は具 備されている. C. 悪意で,登録かつ使用されていること 5.A記載のこの点に関する申立人の主張に対して,被申立人は答弁書を提出しておらず,かつ.申立人の主 張に不自然なところはないことから,本紛争処理パネルは,申立人の PYLONTECHの商標は,被申立人が 本件ドメイン名を登録した 2022年 5月 18日の時点で既に十分著名であったと認定し,したがって,被申 立人は,本件ドメイン名の登録時に申立人の商標を知らなかったか,または知るべきであったとは言えない という可能性はないと判断する. 他方,,被申立人は本件ドメイン名のリダイレクトにより,申立人の競争相手の商品を販売しているウェブ サイトに転送する設定をしていることから,本紛争処理パネルは,方針第 4段(b)(iv)に従い,被申立人は本 ドメイン名を悪意の目的で使用していると判断する. したがって,本件ドメイン名は悪意で,登録かつ使用されており,方針第 4段(a)項(iii)の要件は具備されて いる. 第4頁 7. 裁定 以上の理由により,処理方針第 4条(i)項および手続規則第 15条に従い,本紛争処理パネルは当該ドメイン 名を申立人へ移転することをすことを命じる. /Masato Dogauchi/ Masato Dogauchi 道垣内 正人 単独パネリスト 日付2023年 11月 15日
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